2010年5月27日木曜日

素晴らしき日曜日

黒澤明、小津安二郎、溝口健二、もし日本映画の好きな監督を3人あげろといわれれば、ベタだけれど、この3人をあげる。ただ、小津安二郎と溝口健二は、正直言ってこの半年くらいの間に知った。
日本映画で重要な監督は黒澤明しかいない、恥ずかしながらそう思っていた。
他にも優秀な監督はいるのだが、それでも知名度、実力、実績、すべてが他の追随を許さないほどにずば抜けている。

なぜこれほどの差をつけられたのか。ずば抜けて高い基礎技術や、失敗をすぐ隣におくことによって生まれる圧倒的な緊張感。それだけでも大きな差を作っている。しかし、一番はそのアヴァンギャルドなアイデアではないかと思う。
あれだけの地位を築きながら、常に新しいものを求め、前へ進むことを恐れない。
時間構成、息を呑むロングショット、映画史に残る色使い、
後の外国映画監督が拝借したアイデアは数知れない。

この作品では、電車を横から追いかけるように撮影し、主人公は観客に話しかける。
おそらく電車のシーンは、車を横から走らせたか、もうひとつの車線に同時に走る電車から撮ったのではないかと思う。どちらにしても、重要ではない場面でこの手間のかかるカットを撮ろうなんて、並みの監督ならば考えない。

観客に拍手を求めるシーンでは、それまで不幸なカップルの傍観者でしかなかった観客が、一瞬にしてこの映画の登場人物になる資格を与えられる。

さらに、この作品では衣装も非常に質が高い。40年代という時代もあるが、そのボロボロの衣装は、高級感が漂っている。

もしもタイムスリップをすることができるならば、この映画が上映されている映画館へ行ってみたい。この時代の観客たちは、拍手をしているのだろうか。

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