2010年5月15日土曜日

マイ・プライベート・アイダホ

ワールドカップが近づけば、サッカーをその時代の最先端のアクセサリーであると思い込み、それについて語ることが何よりの喜びである人々が、ここぞとばかりに湧いて出る。

その会話は、その旅がどれだけ裏切られ、自身を苦しめ、死に近づきながらも、その中に喜びを見出したかについての話と同じ種類の不快感を聞き手に与える。
しかし、時にはその話を聞けるだけの寛大さも持たなければいけない。

「マイ・プライベート・アイダホ」は、いくつかのファッションブランドのイメージソースになっており、映画よりも先にそのことについて知ってしまえば、そのブランドのフォロワーと同じになってしまう恐怖から、ブランドを評価していないわけではなくとも、気軽に観ることを常に無宗教でいたい人々に禁じさせる。

この映画は確かに「カッコイイ」という印象を抱かせるだけの映像演出を誇っている。
その点でガス・ヴァン・サント監督の手腕は光る。

リバー・フェニックスの突き抜けるような完璧な演技とクールさは、ジェームス・ディーンと渡り合えるだけのクオリティを持っている。ただそのことが「その他」との差を際立たせ、この作品のバランスを崩し、完成度を低める要因となってしまった。
一本の作品の中で、演技の質が変化してしまう俳優がいては、映画としては致命的だ。

好きな映画としてこの作品を選択していいのは、ませた中学生か、その兄弟、18歳までだろう。
25歳になってこれを選べば、自身の価値を下げてしまう。
どうしても言いたければ、リバー・フェニックスが好き。これだけにしておいたほうがいい。

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