一秒、一分、一時間、一日、一年、一生。
日々は過ぎ、時代は変わってゆく。
未来は今になり、今は過去になる。
新しくなった瞬間、今は古さを身に付ける。
昨日の新聞を古いと感じ、先週の雑誌の情報は更新され、去年のカレンダーももう使えない。
時代を感じる作品も愛おしい。でも、僕は時代という感覚を消し去ってくれる作品のほうが好きだ。
モノクロにすることは、時代の感覚を鈍らせる要因のひとつで、セット、衣装、メイク、音楽もその仲間に入る。
古い技術を前衛的なアイデアにのせる事で、過去と未来を混ぜ合わせ、映画の中の「今」をどこかへ持っていく。
デヴィッド・リンチ監督はこの映画で、自身の代名詞ともいえる、ノイズと主観の組み合わせというテクニックを既に完成させている。
暗闇を使った恐怖の演出は、「カリガリ博士」を思い浮かべた。
過去でも未来でもない。見た瞬間に今に変わる。
この作品に時代は存在しない。
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