僕のおじいちゃんは、二人とも、天国に移住してしまっていて、もう帰ってきそうにない。
おじいちゃんが死んだと聞いたとき、涙ひとつ出なかったし、悲しくもならなかった。
むしろ、自分には悲しいという感情さえがなくなってしまったんだろうか、と考えて、涙が出た。
おじいちゃんは福岡に住んでいて、あまり一緒に過ごす時間がなかったからかもしれない。
もっと近い人が死んだら、悲しくなるんだろうか。
この映画のように、ボケ始めて、少しづつ弱っていって、それを近くで見ていれば、きっと、自分のことなんて考えずに、涙がこぼれる。
タマラ・ジェンキンスという女性監督は、いくつかの賞を獲得した脚本を含め、この映画で素晴らしい仕事をしている。
特に編集はこれ以上ないほど出来はいい。カット割り、次のシーンへの切り替えのタイミングは、0,1秒をも計算されていると思うほど完璧に切り替わっていく。
衣装や音楽の質は高くはないが、フィリップ・シーモア・ホフマンは今回も最高の演技をみせている。
これほどの作品が、なぜ日本で劇場公開されなかったのかわからない。
なぜこんな邦題をつけたのか。「The Savages」のままで十分だった。
この映画で死ぬのは主人公の父親で、祖父ではない。
僕の父親はまだ生きていて、まだ認知症にはなっていない。
きっとまだ、遅くない。

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