2010年5月25日火曜日

ロスト・ハイウェイ

僕が初めて観たデヴィッド・リンチ監督の作品はこれだった。
最初は、映像が暗く、部屋の電気を消した。
次に、セリフが聞き取れず、ヘッドフォンを付けた。
観れなかった。怖かった。
たしか17歳くらいだったと思うけれど、これを観ると眠れなくなる、と体が拒否反応を起こすように、ヘッドフォンを外し、昼間に観ようと決めた。

今思えば、夜中に部屋を暗くし、ヘッドフォンをする。その映画館的な視聴方法が、デヴィッド・リンチの作品ほぼすべてに共通する正しい見かただった。
「ロスト・ハイウェイ」はリンチ監督の作品の中でも主観的なカットが多く、部屋を暗くし、ボリュームを上げた生活音をヘッドフォンで直に聞く事で、そこにいるかのような錯覚を受ける。
この手法が最大限に発揮される、ドアを開けるシーンでは、サスペンスでありながら、ホラー映画を軽く超えるだけの恐怖を受けた。

この作品は半分に区切ることができ、半分が夢のシーンでできている。
夢のような現実と、現実のような夢。
これが観ているものを混乱させ、眠りに入る直前のような浮遊感を得ることができる。

僕は、この映画からデヴィッド・リンチが見ている悪夢の中に入り込んだ。
いまだにその悪夢から抜け出せていない。

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