もしも映画の中の町に住めるといわれたら、この街を選ぶかもしれない。
いや、狂気に満ちたツインピークスか、シザーハンズのカラフルな町もいい。
きりがないのでこの映画に戻ろう。
ラースたちが住むこの町は、多少閉鎖的でありながらも無限に広がる優しさを持って僕たちを迎えてくれる。
ラースは心に混乱を持っているが、この町の人々と同様にすべての人たちを愛するやさしさを持っているために、他人からのやさしさを受けることを除外されるということはない。
それは、この町の人たちが常に隣人だけではなく、町の人々の心の小さな揺れに気が付くだけの余裕を誰もが持っているから。
教会、学校、会社、ボーリング場、という小さなコミュニティの中に、この町の魅力が凝縮している。
この映画を特にすばらしいものとしているのは、この町にはこれしかないというほどの衣装でもある。
美術監督の名がAdam Kimmelとなっていたが、どうやらAdam Kimmelさんは二人いるようだ。
ラースの衣装なんかは彼の作った服だといわれても、何の違和感もなかったのだが。
心におけるわずかな揺れを表現するというテーマや、川のせせらぎのようなこの映画のリズムは、
小津安二郎に似たものを感じた。
心の中の不安がどうしても取り除けないときに、この映画を観てほしい。
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