うーん。うまい。久しぶりに怖い映画を観たなぁ。というのが最初の感想。
ぜひ一人で夜中に部屋を暗くして、ヘッドフォンをつけてみてほしい映画。
というのも、なぜアメリカ版リングよりも、オリジナルのリングのほうが怖いのか?
という話からになってしまうんだけれど、
そもそもホラーというのは、観る人の想像力によって夜も寝られないほどの恐怖まで高められると思っていて、舞台がアメリカよりも、日本のほうがテレビから貞子が出てくるという状況を想像しやすいし、日本人の顔の方が、外人の顔よりも怖いというのも、もちろんある。
ヒッチコックのサイコを観れば、シャワーをしているときに後ろに誰かがいるのでは、と想像してしまうし、
鏡が付いた棚を開けるシーンでは、閉めるときには鏡に映る人物が増えている。と考えてしまう。(ただこの手法は最近の映画では、フェイントがすごく多い)
要は、あからさまに吐き気を感じる映像よりも、肝心のところは観ている人の想像にお任せします。
という撮り方のほうが、より怖いと感じるのではないか。というのが僕の理論。
この理論でいくと、映画よりマンガ、マンガより小説のほうが怖いともいえる。
つまり、視覚的イメージから来る怖さよりも、頭の中に自分で作る想像的イメージのほうが怖いのだ。
この映画では、来るか?と身構えるシーンは多いが、結局なにも来ない。
そこで必要になるのが、どうやって「来るか?」と思わせるか。
それは生活音のノイズを大きくすること。
ここではおそらくデヴィッド・リンチの影響を受けたと思われる、人の喋り声の音量を変えずに、
冷蔵庫などの機械の作動音や、マイクの感度をあげたときに聞こえる、空気の音。
それらのノイズの音量を上げる。という手法を使っている。
それが臨場感を生み出し、さらにほぼ手持ちカメラという主観的な撮り方なので、自分がそこにいるような錯覚を起こし、どこかに「何か」が映っているのでは?振り向けば誰かがいるのでは?
という想像力をフルに観客に抱かせることができる。
一番すごいのは、この映画が7日間という異例のスピードで取られている件。
しかし編集は監督のパソコンで行われた、という情報しか得られないので、どのくらいかわからない。
(おそらくこの「音声」を含めた編集はかなりの出来なので、かなり時間をかけたと思われる。)
ヤフーの映画レビューを見ると、無駄なシーンが多いなどという意見が多かったが、
あれは無駄なシーンではなく、映画の中に緊張と緩和というリズムを作るためのテクニックに過ぎない。
ブレアウィッチとも比較されているが、個人的には演技の質も含め、こちらのほうがフェイクドキュメンタリーとしてはかなり出来としては良いと思う。衣装などの改善点はあるが、想像力の豊かな人にぜひ見てほしい作品。
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