2010年4月20日火曜日

その土曜日、7時58分

僕は映画において、エロティックなシーンと暴力的なシーンは同じ種類だと思っている。
観客にアドレナリンを出させ、一気に映画に注意を向けさせる。
一般的に始まって15~20分にこのシーンが多いのは、観客が映画の“説明”に集中力を切らしてきたところでもう一度映画に意識を集中させるため、と思っていて、この手法は反則的ともいえる。

この映画はベッドシーンから始まり、観たくない人は観なくていいよ。と言われているような感覚に陥る。
ここで耐えられた観客だけが、この後の映画全体からあふれ出るような緊張感を味わえる。

緊張感を演出しているのは巧みな時間軸を構成した脚本と、フィリップ・シーモア・ホフマンとイーサン・ホークによるすばらしい演技と音楽、そして誰でもたった一歩踏み外すことで、ここまで堕ちていくこともある。というリアリティによるところが大きい。

ところどころでマリサ・トメイの美しさに目を奪われてしまっても、それは反則的ではない。
ただ、邦題は考え直してほしかった。


  

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