2010年6月6日日曜日

戦場でワルツを

いい映画は、なぜ?の疑問に答えが用意されている。
なぜ薬指に指輪をはめているのか、なぜ病気なのか、なぜ不自然な場所にこれを置いているのか。
この映画のなぜ?は、なぜこの作品はアニメーションである必要があるのか?これが一番の疑問として頭に浮かぶ。

このストーリーならば、実写でも十分に機能するし、アニメーションでしかできない演出もそれほど多くはない。ではなぜアニメーションにしたのか?その答えは、ラストシーンにある。
ゴーン、ゴーン、という鐘のような音に乗せ、戦争による悲惨な虐殺を実写で映し、この映画は終わる。

この映画と似たような手法で、サブリミナル効果というものがある。一瞬だけメッセージをはさみ、観客の潜在意識を刺激する。時間的には圧倒的に短いにもかかわらず、そちらのほうが記憶に残る。

つまり、この映画が本当にみせたいのは、虐殺の記憶であり、その1,2分をみせるために、約80分のアニメーションが存在する。結局、それまでのアニメーションは、実写のための前座でしかない。

ディティールについては、煙草の煙などが、一部CGになっているが、そこはアニメーションで表現したほうがいいのではないかと感じた。おそらくこのアニメーション全体も、5年も経てば古く感じるのではないか。

ただ、ぶつ切りにしたようなエピソードの組み立て方やリズム、テーマをどのように観客に感じ取らせるか。など、観るべき箇所はいくつもある。今という時代だからこそ、この表現ができるともいえる。

0 件のコメント:

コメントを投稿

メキシコ1 メキシコシティ

こんにちは。 キューバを後にし、僕が向かったのはメキシコシティ。 ここからは出国の日にちは気にせずに、のんびりと歩き回れる。 キューバからの直行便でメキシコシティに着いたのは午後7時頃。ささっと入国審査を済ませ、まずはATMを探し、メキシコペソを引き出す。キューバでは...